IwakenLabの技術書典13サークル参加を振り返る

はじめに

本記事はIwakenLabアドベントカレンダーの10日目の記事です。

qiita.com

技術書典 13 に参加してきました

2022 年 9 月 10 日~ 9 月 25 日まで開催されていた技術書典 13 に IwakenLab でもサークル参加して本を頒布しました。結構時間がたってしまいましたが、その時の振り返りができたいなかったのでこの機会にと思い筆を執った次第です。

本記事の内容と対象読者

本記事ではタイトル通り、技術書典に参加してきた振り返りをしていきます。具体的には次の時系列に沿って何をしていたのかを振り返りたいと思います。

  1. 企画段階
  2. 執筆準備
  3. 執筆
  4. イベント中~イベント終了

コミュニティの中の複数人が集まって本を書くということについて、どんなモチベーションで始まってどのように運営していったのかを書きたいと思います。 もし所属している団体・サークル・コミュニティで技術書典に出てみたいと思っている方には、もしかすると参考になるかもと思いました。

筆者について

筆者は現在、Unity・AR エンジニア(学生)をしています。 もともと記事や本を書いたり LT 登壇をしたりするのが好きな性格で、 2022 年 12 月の段階で技術書典には 3 回サークル参加し、4 冊の本を頒布してきました。4 冊の本の内訳は次のようになっています。

参加イベント 形態 ・名義
1 冊目 技術書典 11 合同本(2 人)・身内サークル
2 冊目 技術書典 12 個人サークル
3 冊目 技術書典 13 合同本(4 人)・IwakenLab
4 冊目 技術書典 13 個人サークル

IwakenLab で参加する前にすでに 2 回サークル参加をしていたので本の執筆についてはノウハウがある状態でしたが、対外活動をちゃんと行っているコミュニティで合同本を書くのは初めてでした。

IwakenLab について

IwakenLabとは、イワケンさんが主催する技術好き学生支援コミュニティです。VR/AR をはじめとする様々な技術が好きな学生・社会人が集まり、Discord 上でわいわいしている場です。普段はあまり IwakenLab として何かを行うことは少なく、どちらかというと活動の主体はメンバー個人で、それぞれがやっていることに対しほかのメンバー・メンターと議論することが多いです。技術書典の参加に関しても、IwakenLab としてというより IwakenLab の本という場を活用して個人の成果物を増やしたいよねという目的で行われました。学校のサークルとちょっと違うのはそこかもしれません。

参加メンバー

IwakenLab のメンター・メンバーの 4 人で参加しました。一緒に参加してくれた 3 人にはとても感謝です。

  • イワケンさん
    • IwakenLab 主催・メンター
    • Microsoft MVP
    • IwakenLab をはじめ 3 つのコミュニティリーダーをされているすごい方
  • とうとうさん
    • IwakenLab メンバー
    • VRChat が好きで Unity もサーバーサイドもできちゃうすごいエンジニア人(えんじにあんちゅ)
  • Kenty さん
    • IwakenLab メンバー
    • AR に限らず面白そうなことをすぐ試す行動力モンスター。めっちゃ話聞くのがうまい。
  • にー兄さん(筆者)
    • IwakenLab メンバー
    • ネコをモフることが得意

筆者の役割

書典 13 の時点で、筆者を除いた 3 人は初サークル参加で Re:VIEW を使った執筆経験もありませんでしたので、筆者は全体のマネジメントをしたり技術サポートをしたりという立ち回りになりました(編集長と呼ばれていました)。具体的には次のようなサポートを行いました。

  • 執筆技術選定
  • 執筆リポジトリの整備
  • 執筆ルールの策定
  • 執筆環境構築のサポート(講習会の開催など)
  • スケジュール作成
  • 本の編集作業
  • 表紙の作成

サークルアカウント管理はイワケンさんにお願いしました。なのでイワケンさんにはサークル参加手続きや銀行口座の紐づけ、入稿などの作業をしていただきました。 アカウントには銀行口座などが必要だったため、コミュニティの代表をしている人にお任せするのが良いと思われたためです。

企画~執筆前

プロジェクト始動前

きっかけは自分が技術書典 12 に参加したときに、イワケンさんが「次は一緒にやりたい」と言ってくださったことでした。 ということでとりあえず Discord にチャンネルだけ作り、13 の具体的なスケジュールが出たら動き出すことにしました。

プロジェクト始動

6 月 16 日に公式から書典 13 の開催アナウンスが出ました。これを機にプロジェクトが始動という感じです。 この時に確定したスケジュールは以下です。

  • 6/22 ~ 7/24:サークル参加申し込み
  • 9/10 ~ 9/25:技術書典オンラインマーケット
    • ここで 9/7 くらいが電子書籍のデッドラインかなぁという見立てになる

まずは 7/24 日の参加申し込み締め切りまでに参加メンバーを募集する動きをしました。 興味のある人向けにチャンネルで公式イベントのアナウンスをしたり、キックオフミーティングを行いました。この時点である程度メンバーが参加することがわかったので、サークル参加することが確定しましたがメンバーはもっと後の 7/31 に確定させました。

参加申し込み

7/23(締め切り前日)にサークル参加申し込みをしました。

キックオフミーティング

キックオフミーティングでは、興味がある人向けに以下の内容について伝えました。

  • 技術同人誌とは / 技術書典とは 何か
  • 執筆する本の概要
  • 本を書くための知識
  • GitHub Oriented Writing
    • GOW について
    • IwakenLab でのルールについて
  • 相談したいこと・やることリスト

キックオフ資料

キックオフの中である程度開発環境について方針決めも行いました。 自分が発表した時には、環境構築が難しい場合には Re:VIEW 環境以外でもマークダウンを使える選択肢を用意していたのですが、せっかくなのでみんな Re:VIEW の環境構築に挑戦しようという話になりました。 Re:VIEW の環境には少し苦労した人もいましたが、最終的にこの決定は良かったと思っています。

ちなみに GitHub Oriented Writing に関しては過去に記事を書いておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

zenn.dev

執筆リポジトリの整備

執筆リポジトリの整備を行いました。キックオフが終わった後で、だいたい執筆ルールの方針も決まっており、扱うツールの選定も済んでいたので、あまり迷わずに行えました。 具体的には以下のようなことを行いました。

  • Re:VIEW 環境を導入したプロジェクトファイルの整備
  • メンバー執筆用のファイルの用意
  • issue テンプレートの準備
  • GitHub Action の整備

スケジュールの共有

リポジトリの整備が済んだ状態で、メンバーには今後のスケジュールを共有しました。 この時が 8/10 だったので、締め切り 1 か月前という感じです。 これは個人的にですが、同人誌の執筆には 1 か月がちょうどいいと思っています。 あまり短いと原稿が終わらないのもありますが、あまり長くするとモチベーションが低下してしまいます。 同人誌は本当にモチベーションが大事なので、あまり時間をかけず、気持ちが上向きになっている短期間でなるべく仕上げるようにしたいです。

スケジュールの共有

今回は合同本で一人で一冊書くわけではないので少し短めでいいと思ったのと、Re:VIEW を使った執筆に慣れていない人がいるのを考慮して、初稿までを 3 週間弱としました。

環境構築もくもく会

スケジュールを共有したあとは環境構築もくもく会を行いました。 Re:VIEW の環境構築はちょっとめんどくさいので、ここはみんなで足並みをそろえたいよねということで開催しました。 ここでは各自の手元で以下の機能が動作するのを確認しました。

  • vscodeRe:VIEW 拡張機能をインストール
  • Re:VIEW のプレビューが表示される
  • textlint で推敲校正ができる
  • Docker で原稿を PDF 出力できる(一部のメンバーのみ)

環境構築会は本当にやってよかったと思いました。元々は参加する人たちに時間を取ってしまい申し訳ないと思っていたのですが、なんだかんだ細かいポイントで躓いたりツールの理解度も揃えられたりしたので、この時間は必要だったなと思います。

執筆~入稿

粛々と執筆

環境構築の甲斐もあり、そこからはメンバーそろって執筆を行えました。 細かい質問などは非同期的に discord に投げてもらい、都度自分が対応しました。 質問の例としては以下のものがありました。

  • vscodeRe:VIEW 拡張では画像がプレビューされない
    • これは今のところ我慢するしかなさそう......
  • 数式がプレビューされない+ vscode 上でエラーになってしまう
    • これも我慢するしかなさそう......エラーになるのは本当に不便
    • 一回拡張機能のコードを見て見たのですが、当時はちょっとめんどくさそうに感じた記憶があります
  • コードがはみ出てしまう時はどうすればよいか
    • 今回はなんとかコードに改行を入れながら進めました
    • サンプルコードのレビューを行い、コード量を短くしたこともあった

初稿締め切り

初稿の締め切り、つまり 8 月末日の 1 週間前に進捗確認のアナウンスを出しました。 正直この時点では自分もメンバーもそこまで完成していなかった気がします。 そして結局締め切りの日に一番進捗を出しました(よくない)

レビュー

原稿を書いた後はみんなでレビューをすることになっていました。

筆者も普通に締め切り過ぎていましたし、まぁこの日に終わらなくても大丈夫だろうと思っていたので 終わってない人も継続で書いてもらっていました。 画像にもありますが、レビューについてルールも決めました。

  • 最低限一回自分で一回読みなおす
  • ほかの人に依頼して読んでもらう
  • 変更するたびにプルリクを作成してください
  • 自分の章の変更は自分でコミットしてください(コンフリクト対策)

最終的に、メンバー全員が他のメンバーの記事に一回は目を通し、誤字脱字やよりよい記法などをレビューしあいました。 ここには書いていないですが、レビューして気になった点を issue で出すという動きが自然と生まれていて、後半はその形式でやっていました。

表紙

表紙作成は反省点が多いです......。というのも最後の最後まで表紙についてあまり議論できておらず、締め切りギリギリまでずっとやっていたタスクだったからです。 最悪自分が巻き取ればいいかと思っていたのですがやはり最終的にそうなりまして、ちょっと苦戦しつつなんとか背景グラフィクスを Unity で作成し、文字組をイラレでやって表紙データを作成しました。

出来上がった表紙画像

結局最終版の画像が上がったのが締め切り日の AM3:22 だったので、深夜まで粘っていました。 ここは本当に、メンバー(特にイワケンさん)にギリギリまで心配をかけてしまったので反省です......。

入稿

表紙データが上がった後、イワケンさんが 4 時半くらいに入稿データの審査に出してくれました(圧倒的感謝)。 そこからは目立った事故もなく審査が通り、自動的にマーケット開催時に購入可能になりました。

イベント会期中~終了

イベント会期中は特に大きな仕事はなく、ちょくちょく宣伝を挟みつつ売り上げ状況の確認などをしていました。

おわりに

ひととおり書典 13 での執筆活動について振り返りました。 4 人という規模で合同本を作ったのは今回が初めてだったため、上手くいかないこともありメンバーには心配させてしまったこともありましたが、無事本を出せてよかったです。 また、IwakenLab としても書典参加は初めての試みであったため足場づくりの部分が多かったですが、そのおかげで次回以降参加することになったとしたらノウハウをそのまま使うことができるのではないかと思っています。協力してくださったメンバーには圧倒的感謝です。

また、もしこの記事がこれからコミュニティで技術同人誌を書いてみたい人の助けになれば幸いです。 最後まで読んでいただきありがとうございました。